韓国反日思想の根源は朱子学「衛正斥邪」

日本国民党代表 鈴木信行

 

現代政治にも及ぶ朱子学の呪縛
 
 現代の韓国左翼の反日運動の思想的バックボーンは、かつての李氏朝鮮時代の反日抗日運動とも繋がっている。「衛正斥邪」(えいせいせきじゃ)という考えは朱子学に基づき、李氏朝鮮時代に「邪教」「邪説」を排斥して国家の「正学」である朱子学を守ろうとする考えだ。
 衛生排斥思想とは、対外的には攘夷思想であり、国内的には純化思想である。商人や職人を蔑む思想は現代韓国にも影響力は続いている。
 李氏朝鮮時代に西洋近代文明を拒否し、儒教、朱子学、華夷秩序を守ろうとする考えだ。
現代の韓国で例えれば、日本統治時代の歴史を顧みたときに、歴史検証という考えは排除される。日本統治時代はこうあるべきという歴史認識が、歴史事実よりも優先されている現代韓国の現実と合致している。韓国社会の歴史認識と同じく、「現実の論理」よりも「理念的価値」を優先しているのだ。
 
日本の現実よりも韓国の願望
 
 朝鮮人慰安婦と朝鮮人労働者(徴用工)は確かに存在した。慰安婦・徴用工に対して、強制連行の有る無しの歴史事実への検証は無視されてきた。韓国にとっては日本統治事態が不正の根源であり悪の根源だから、強制であるとか募集に応じたとかの歴史事実はどうでもいいのだ。朝鮮を統治し朝鮮人を働かせたこと自体が悪とされる。
 竹島の領有権も同じだ。韓国の領土との思い込みが先行し、歴史文献を偽造してでもあるべき答えに合わせて恥じない。国民も歴史文献の検証という行為を行わないのだから間違った歴史認識が修正されることはない。
 これは現代の韓国政府の行動にも現れている思想である。前政権が合意した国家間の約束を反故にして恥じない。朴正煕政権時の日韓基本条約や請求権協定。安倍晋三政権と朴槿恵政権の日韓合意など、国際的な合意事項よりも国内論理を優先して反故にするのだから、近代国家としてあるまじき行為である。思想的バックボーンが衛生排斥思想なのだ。
 
反米思想も朱子学から生じる
 
 さらに反米国・反日本と、これに対抗するための親中国の動きとして現れている。韓国を近代国家として信用できない理由はここにある。
 朝鮮民族を長年虐げてきた中国への反抗や反発よりも、現代中国をも中華文明の源流として、文化的宗主国として崇める思想的背景も朱子学が背景にある。
 もちろん、中国に反発する韓国人は多く存在するが、時の政権の意向により社会から発言権を奪われる。歴史の真実を語り検証する学問が、時代を経ても確立できないのには理由があるのだ。
 現代韓国の前政権である文在寅政権及び親北朝鮮勢力にも通じる、共通した動きであり考えが衛生斥邪だ。現代の韓国左派による反米思想と親中国への傾倒は、朝鮮民族主義思想の源流ともいえいるのではないか。
 大韓民国が構成している現代の韓国社会は、李氏朝鮮時代の朝鮮民族の思想的背景と変わりはない。近代化された韓国の中にも、朱子学の悪弊呪縛から逃れられない韓国が存在し続けている。
 もちろん現代日本にも、朱子学の呪縛から逃れられない思想的悪弊が残っている。本居宣長先生の言われた「漢心(からごころ)よ去れ」と、記して本稿を閉じたい。