帰化人の官報掲載が90日に 制限帰化事実の確認困難化の改悪

 令和七年四月一日から、外国人から日本国籍を得た、帰化許可者の官報掲載期間が九十日に限定される事になった。これによっていくつもの問題が発生する。

 

国民の「知る権利」を侵害

 帰化情報が九十日後に閲覧できなくなることで、過去の帰化履歴を遡って調査することが困難になる。これにより、特に国会議員や地方議員といった公人の出自や国籍の透明性が損なわれる可能性がある。国民が政治家や公的立場にある人物の背景を検証する「知る権利」が制限され、民主主義の透明性が低下するのは確実だ。

 すでにネット上では、帰化情報を制限することで、帰化した政治家や公職者の履歴を隠蔽する意図があるのではないかと憶測が多く指摘されている。

 これにより、国民の間に政府や行政に対する不信感が高まる可能性がある。特に「帰化した議員の調査が困難になる」「スパイ防止法がない中でセキュリティリスクが増す」といった懸念が表明されている。

 官報の電子化と掲載情報公開の九十日間限定は、「プライバシー保護」を目的とした措置と政府側は説明している。官報には帰化者の住所、氏名、生年月日などの個人情報が公開される事で、プライバシーの侵害や差別につながるリスクがあるというのがその理由だ。

 

公益性と衝突するプライバシー

 しかし、「プライバシー保護」を優先するあまり、国民の「知る権利」や公共性・公益性が衝突するのであれば、そもそも帰化制度そのものの是非が問われなければならないだろう。

 今回の帰化情報掲載期間を限定する措置に対して、一部の批判では、帰化情報の公開制限が「国民の知る権利」を侵害し、憲法違反の可能性がある。

 特に、選挙における投票判断に影響を与える情報の確認が制限されることで、国民の権利や民主主義の基盤が弱体化する。

 

出自と正体を隠して出馬可能に

 また、戸籍制度の透明性低下と関連し、さらなる制度改悪への懸念も表明されている。

 帰化許可者の官報掲載期間が九十日となったが、地方自治体の選挙権が得られるようになるのも、その自治体に住民票を移してからおおむね約九十日(三ヶ月)だ。

 つまり、外国人が帰化申請をして、帰化の許可が下りた直後に引っ越して、住民票を移した先の自治体から九十日後に選挙に出れば、有権者はその候補者が帰化人なのか純粋な日本人なのか知る事がほぼ出来ないという状況になってしまうのだ。

 これは帰化事実の確認を困難化させる事で、国民の「知る権利」を侵害し、日本に浸食しようとする勢力を利するだけの改悪と言わざるを得ない。

 帰化情報の公開継続が「プライバシーの侵害」になるというのであれば、それにつながる帰化制度そのものを廃止するのが筋ではないだろうか。

(しんぶん国民6月号)