帝国の墓場と右派政治勢力の墓場(高橋健二)
帝国の墓場
アフガニスタンは帝国の墓場と呼ばれる。
外国勢力によるアフガニスタン侵攻はしばしば失敗してきたという歴史的な事実があり、大英帝国、ソビエト連邦、アメリカ合衆国が侵攻したものの撤退している。
これは、超大国がアフガニスタンの地形や気候、宗教、文化などを含めた実力を過小に評価してしまうためである。
また、超大国であることや自軍の戦力、自分たちの価値観の正しさへの過剰な自信から安易に攻め込み、失敗してしまうためと考えられる。
超大国は、自分たちにもできることと、できないことがあることを忘れ、戦争を始めてしまう。
しかし、最終的には思うような勝利を掴むことが出来ず、撤退を余儀なくされる。アフガン撤退は、大英帝国の威光を陰らせ、ソビエト連邦を崩壊させる原因の一つとなった。つい先日、アメリカ合衆国も惨めな撤退となった。
右派勢力の墓場
これと同じように、日本国内には右派政治勢力の墓場と呼べるものがある。
参議院議員選挙である。参院選は衆院選と異なり、全国を一つの選挙区とする比例代表選挙があるため、候補者を「比較的」当選させやすく、また、全国を通じて2%以上の票を集めることができれば、政党要件を獲得し、政党交付金が得られる。
そのため、他の衆議院選挙に比べて、「なんとかなるかもしれない」という希望を抱きやすく、また、魅力的に見えてしまう。
さらに、右派政治勢力が議会に進出したい動機は、憲法や安全保障など国政の問題であることが多いため、自然と国政選挙に目が向いてしまう。
そして、憲法や安全保障の問題は右派政治勢力の見方が実際に正しいという思いも強く、選挙に出て、正論を訴え、知名度が向上しさえすれば、簡単に支持が集まり、十分に得票できるだろうと希望的観測を抱いてしまう。
そのため、右派政治勢力は参院選の全国比例での当選を目指してしまうのであるが、これが大怪我のもととなってきた。
平成という時代は、いくつもの右派政治勢力が参院選での勝利を目指して戦ってきたが、その試みは全て失敗している。
いずれの団体も資金的に行き詰まり、組織が消滅したり、なんとか存続できても選挙を戦う力を失ってしまっている。
日本国民党の戦略
日本国民党はこれらの失敗から学び、従来の「国政選挙一本鎗」とは異なる戦略を採用している。
そもそも日本の右派勢力は、都道府県ごとに特色や個性もあるし、少数独立の気風が伝統的に強い。左翼や共産党のように、全国にわたるピラミッド型巨大組織を構築するのは難しいだろう。
そうした現実に合わせて、まずは同憂同志団体の横の連帯を図る。それで、地方議会へ進出し、右派政治勢力のネットワークを作る。
そして、やがてやってくる国政選挙挑戦への足場固めをし、当選の可能性が、統計的数字で見えてきたら国政選挙に挑む。
一見、迂遠に見えるが、実際にはこれが最短距離の道であろうと思われる。いまは、全国各地の地方議員を増やしている段階で、これはしばらく継続せざるを得ないだろう。
憲法や安全保障の問題は一刻を争うので、焦る気持ちは私も重々理解できるのであるが、我々のような右派政治勢力が実行できる最善手は、現在、日本国民党が採っているこの戦略であると信じている。
私としても、日本国民党が右派政治勢力のネットワークづくりを完了させ、国政選挙にできるだけ早く挑戦できるよう、可能な限り努力していくつもりだ。読者諸賢のより一層のご協力も切にお願いしたい。
(日本国民党情報宣伝局長補佐 高橋健二)