いそげ!日中断交と日台国交回復(日本国民党代表 鈴木信行)

台湾
拙速だった国交樹立

 9月28日の上海外国為替市場の人民元相場は対ドルで下落した。1ドル=7.24元台までの落ち込みで、14年8カ月ぶりの元安ドル高水準となった。

 米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅利上げを続けており、米中の金融政策の方向が異なることから人民元が売られやすい状況が続いている。

 金融の国際ルールは英米ルールだ。米国は金融覇権を中国には許さない。

 米国では11月の中間選挙で共和党が勝利すると、益々米中金融戦争はこれからさらに衝突していくだろう。

 米国と中国は摩擦と協調、友好と対立を繰り返しながらも、対ソビエト連邦という共通の敵を前にして共闘した。その結果、ソビエト連邦が崩壊して東西冷戦を終結させた。

 米中接近に焦った田中角栄首相(当時)は中国の本質を見誤り、昭和47年の日中国交正常化以降、日本は中国を経済支援し技術供与して発展させた。

 日本は政府開発援助(ODA)で中国の経済発展を後押しし、中国は最大の貿易相手国となったのだ。

「中国が変わる」という幻想

 日中は経済的相互依存を深めた一方、歴史認識などを巡り対立してきた。靖国神社参拝に反対するのは内政干渉も甚だしいと突っぱねるべきところを、日本政府は譲歩に次ぐ譲歩を重ねて現在に至っている。

 近年は、東シナ海・南シナ海で一方的な現状変更を試みる中国との軍事的緊張が高まっている。

 中国が経済発展すれば、共産党独裁政治が改まり、資本主義と自由経済社会が中国に変化を与えるとの考えは完全に間違っていたのだ。

 日本の支援で経済発展した中国は、軍事力を強大化させて周辺国を圧迫している。中国の軍事力拡大の最大の貢献者は日本である。

 日中国交正常化と合わせて、台湾との国交を断絶した。米国のように台湾関係法を作ることなく一方的に台湾を切り捨てたのが、日本政府の台湾に対する仕打ちだったのだ。

 その台湾は中国に併合されようとしている。

 日本は安倍政権以来、台湾に対する酷い仕打ちを改めて少しずつ外交関係を改善させてきた。

 安倍晋三元首相の国葬儀にも台湾を招へいして「台湾」として扱ったのは、時代の変化に応じた適切な対応であった。

 この先は、日中国交正常化50年を期して、対中国外交を改めるべきだ。

 尖閣諸島周辺海域への領海侵犯や、日本に対する領土領海侵略を隠さない態度は、友好国に対する態度ではない。敵国に対する対応と判断して然るべきだ。

 台湾との国交回復は日本外交の必須課題だ。早期に実現すべきだ。

 そして日中国交正常化50年を期して、中国との外交関係を敵国として定めるべく見直す時が来ている。

 岸田政権は中途半端な対応ではなく、中国敵視の外交方針に転換した日本の方針を世界に発信すべきだ。

(日本国民党代表 鈴木信行)

鈴木信行

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