帰化人の呆れた実態(金友隆幸)

【帰化】とは「自己の志望によって後天的に特定の国の国籍を取得し、その国の国民となること」とある。普通の国であれば、この説明だけで十分だろうが、本来の帰化という言葉には、もう一項目が付け加えられる。「外国からその国の王の徳治を慕い、自ら王法の圏内に投じ、王化に帰附すること」だ。ここにこそ天皇国日本の日本たる所以があり、日本において外国人から日本人になった人のことを「国籍取得者」ではなく「帰化人」と言ってきたのだ。

 今ではネット上で相手を馬鹿にした意味合いで「帰化人」という言葉が使われる場面が見受けられるが、帰化人とは外国人に生まれながらも、天皇陛下の御稜威を慕い、自ら進んで日本人になろうとした人のことだ。本来であれば「帰化人」とは、日本の有難味も知らず、ぼーっとしているような日本人よりもずっと尊敬すべき人のことだったはずだ。

 ところが、現実の一部帰化人たちを見ればその実態に何とも憤りすら感じてしまう。今回はそうした、帰化人たち呆れた実態を紹介していこう。

「帰化」してから外国人マフィアを組織

 昭和40年代、中国東北部黒竜江省で日本人残留孤児の二世として生まれたAは昭和60年代に20代で来日して「帰化」して仲間の残留孤児二世らと中古車を扱う貿易会社をつくった。そこで盗難車両の売買を扱ったのを契機に、水を得た魚のように犯罪に手を染めていく。

 残留孤児の二世や、Aと同様に「帰化」した仲間たちを集め、外国人マフィアを組織し、集団で高級車や貴金属窃盗を繰り返し、暴力団と組んでカード偽造と覚醒剤の密売を大々的におこない始めたのだ。組織は数百人規模に膨れ上がり、警察の取り締まりを受けてAは逮捕されて収監。実刑判決で刑務所に服役したが、これだけのことをやっても「帰化」が取り消しになることもなければ、中国に強制送還されることもない。

 Aはいま、「仕事」で稼いだ金で中国北京の高級住宅街で「日本人」として悠々と暮らしているという。

「帰化」してスパイ疑惑と反日デモ

 昭和60年代に来日し、繁華街を拠点に活動していた中国人のBは、平成24年に「帰化」し、その後、東京都内の選挙に出馬するようになる。結果は落選であるが、当選に遠くない数字を得ている。しかも、ネット上を使い、中国語で同胞たちに選挙協力を呼び掛けていた事実は軽視できないものだ。帰化人が、同じく帰化した同胞たちの票と選挙協力によって当選する事態が間近に迫っていると警戒すべきだろう。

 作家の坂東忠信氏は『移民戦争』(青林堂)において、こうした人間たちの周辺に中共のスパイ疑惑があることを指摘している。

 また、Bは平成29年に、アパホテルが室内に南京大虐殺を否定する本を置いていた事について「抗議すべきだ」と、在日中国人たちに反日デモを扇動し、同年2月5日に、東京新宿でアパホテルの南京大虐殺否定本に抗議する在日中国人らが集まって、デモ行進がおこなわれたのだ。しかもデモの開催前後に、主催者らが中国大使館に実施について報告していたという。いかに言論の自由があるとはいえ、外国の意向を汲んだ外国人らによる、反日デモが白昼堂々と日本の施政権下でおこなわれたのは異常事態と言う他ない。

「便利だから」で日本人になった

 東アジア評論家としてテレビによく登場し、「チベット問題は中国の国内問題」「総理大臣の靖国神社参拝は相手が嫌がることをだからしなくていい」などと中国共産党を擁護するような発言を連発し、まるで「中国政府のスポークスマン」とも評されているCも平成20年に日本に「帰化」しており、その理由を恥じらうこともなく「中国のパスポートよりも、日本のパスポートのほうが都合が良いから」だと述べている。

 そして「帰化」をしたにもかかわらず、「私は華人、日本籍中国人。だから『あなたは日本人でしょ』と言われるとドキっとしてしまう」とまで発言している。

 もし日本と中国が戦争になった時、彼女がどちらの味方になるかは小学生でも判断がつくだろう。

悪意は善意を超える

 こうした帰化人たちがいる一方で、善意で日本に帰化する人がいるもの事実だ。来日して20数年になるある元中国人の方は次のように話す。「東日本大震災のあと、暴動や略奪も起きず、不平不満も言わず、お互いを助け合い、団結して復興に向かう日本人の姿に涙が出た。自分も日本人となって、この人たちと運命を共にしたいと思った」

 こうした方の気持ちは有難くも思うが、現行の帰化制度では、こうした人と、先に挙げた悪意ある人物との区別が出来ないのが実態であるし、社会的な影響面で見れば悪意による行動は善意を超えてしまう現実がある。

現行制度の問題点

 現行帰化制度の問題点をまとめると次のようになる。

  1. 帰化にあたっての定住要件が5年と短い
  2. 帰化時に日本への忠誠義務が無い
  3. 帰化後、犯罪や、祖国の意向を受けてのスパイ工作活動をしても帰化が取り消されない
  4. 帰化に際して祖国での価値観、社会慣習、宗教を改める必要がない
  5. 祖国で政治家、軍人軍属、諜報員の職歴があっても帰化が可能

 これらの内、1. は定住要件を20年、30年と延長すれば良いだろう。2. は実効性は薄いが法改正で形式的に追加は可能だ。3. は帰化許可の取り消し要件として、犯罪やスパイ行為を追加することで対処できるのではないか。4. はフランスのように宗教を公共の場に持ち込まないと規定したとしても対応は難しいだろう。5. にいたってはほぼ対処不可能だ。

 こうして見ていくと、やはり日本に帰化制度そのものを残す意味というものが問われるのではないか。

(日本国民党情報宣伝局長 金友隆幸)

『移⺠戦争』